のどの病気

扁桃炎

どんな病気?

扁桃炎は、耳鼻咽喉科でも非常によく見られる疾患です。似たような症状を見せる他の病気と正確に鑑別し、適切な治療を行うことが大切です。

主な症状

顎の下、首のリンパ節の腫れや痛みが主な症状です。発熱を伴うこともあります。

原因

主に、細菌やウイルスへの感染によって発症します。

治療法

細菌感染によるものである場合には、抗生剤を中心とした治療を行います。
痛みや発熱に対して歯、非ステロイド性の消炎鎮痛剤を使用します。
食事や水分が摂取できない場合には、入院した上での点滴治療が必要になります。

咽頭炎(急性咽頭炎)

どんな病気?

細菌・ウイルスへの感染によって、咽頭の粘膜、リンパ組織に炎症をきたしている状態です。初めにウイルス感染を起こし、その後細菌にも感染するというパターンもよく見られます。

主な症状

喉の痛みやヒリヒリ感、咳・痰、違和感などの症状が見られます。喉の痛みは、嚥下時だけ生じることもあります。その他、発熱、倦怠感、耳の痛みなどの症状を伴うことがあります。

原因

ほとんどはウイルスが原因ですが、細菌である溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)が原因のこともあります。特に体調不良、睡眠不足、季節の変わり目など、抵抗力が落ちているときに発症しやすい傾向があります。
のどの痛みは最初の2~3日がピークで、7~10日間でだんだんとよくなることが多いです。

治療法

ウイルス性の場合には抗菌薬は効果がありません。消炎鎮痛剤や消炎剤を使った治療の他、ネブライザー療法も有効です。ご自宅では安静に努め、加湿器を使用して部屋の湿度を保ちましょう。
ただし溶連菌による急性咽頭炎と診断された場合には用法用量(7~10日間)を守って、抗菌薬を飲みきりましょう。最初は軽度咽頭炎に見えても、別の疾患であることがあります。
① 呼吸が苦しくなった、②のどの痛みで強くなり食事や水分がとれない、③4日以上経っても38℃以上の熱が続く、④7-10日間経っても症状がよくならない、むしろ悪くなっている(①~④に当てはまる時にはもう一度受診しましょう。)

慢性上咽頭炎に対しては抗生剤などの薬剤が効かないことが多く、Bスポット療法で治療することがあります。

喉頭炎(急性喉頭炎)

どんな病気?

細菌やウイルスなどへの感染、アレルギー、喫煙習慣などに起因して喉頭に炎症を起こしている状態です。

主な症状

喉の痛みやヒリヒリ感、違和感、声枯れ、咳・痰、発熱などの症状を伴います。

治療法

消炎鎮痛剤や抗生剤を使った治療の他、ネブライザー療法も有効です。ご自宅では、身体の安静とともに喉の安静(声を出さない)にも努めてください。また、室内の乾燥にも気をつけてください。

声帯ポリープ

どんな病気?

声帯に生じる良性のコブのことを、声帯ポリープと呼びます。声帯ポリープができると、声帯を正しく閉じることができなくなり、声帯の震え方が乱されるために声枯れなどの症状をきたします。

主な症状

声枯れ、声が出にくい、食べ物を飲み込みにくいといった症状を伴います。

自分でできるチェック法
  1. 立つあるいは座るかして、姿勢を正してください。
  2. 口を閉じ、鼻から大きく息を吸い込んでください。
  3. 「アー」と息継ぎなしでできるだけ長く声を出し続けてください。

15秒未満だった方は、声帯ポリープあるいは声帯で何らかの異常をきたしている可能性があります。

原因

主な原因は、声の出し過ぎです。そのため、アナウンサー、教師・保育士、歌手など、日常的に大きな声を出す方に多く見られます。あるいは、日常的でなくとも、試合の応援などで声を酷使して声帯ポリープが生じることもあります。
その他、(風邪などによる)頻繁な咳、喫煙、飲酒なども声帯ポリープが生じる原因の1つになります。

治療法

声帯ポリープは、特に発生直後は自然治癒が期待できます。その間、声を出さないようにする必要があります。
薬物療法では、消炎剤の投与、ステロイドの吸入薬などを行います。
自然治癒が見込めず、薬物療法でも効果が認められない場合には、声帯ポリープを切除する手術の適応となります。通常、入院が必要になります。

扁桃肥大

どんな病気?

扁桃が肥大する状態を指します。通常、扁桃の大きさは7歳頃にピークを迎え、その後小さくなっていきます。そのため、その期間に症状をきたすことが多くなります。

主な症状

いびき、呼吸障害、睡眠時無呼吸などの症状を伴います。これらの症状により、二次的な症状として睡眠障害を起こすこともあります。
また、食べ物が飲み込みにくいため、食事に時間がかかる傾向にあります。

治療法

扁桃が肥大していても、特に症状がない場合には経過観察に留めます。
症状があり、かつ日常生活に大きな支障をきたしている場合には、扁桃を摘出する手術を検討します。

Killer sore throat ~死を呼ぶのどの痛み~

日常診療において咽頭痛を訴えて来院する患者さんは非常に多く、その原因の多くは、上記の急性咽頭喉頭炎や急性扁桃炎です。多くは消炎剤や抗生物質等の投与で軽快します。
しかしながら、速やかに治療を開始しないと命に関わる咽頭痛をきたす疾患があります。
それらは「Killer sore throat」と呼ばれています。代表的な2疾患をご紹介いたします。

扁桃周囲膿瘍

どんな病気?

好発年齢は2030歳代で、急性扁桃炎の炎症が扁桃周囲組織に波及して膿瘍を形成する疾患です。さらに膿瘍形成が頸部や縦隔に進展すると深頸部膿瘍や縦隔炎を併発して死に至ることがあります。

おもな症状

咽頭痛、嚥下困難、発熱、耳痛、開口障害、含み声があります。重症化すると呼吸困難や窒息の可能性があります。

治療法

局所麻酔下での膿瘍穿刺、あるいは切開排膿と局所洗浄、抗生物質の点滴療法を行います。多くは入院の上、点滴治療となり、再発予防のため、後日、口蓋扁桃的手術が行われることもあります。

周囲膿瘍がさらに増悪し、副咽頭間隙にまで炎症が波及すると、深頸部膿瘍や縦隔膿瘍に至り、全身状態が一気に悪くなり、死に至ることがあります。その場合には即入院の上、CTを撮影し、早期診断の上、適切な治療を行いますが、経過により頸部外切開を行ったり、開胸を検討しないといけない場合もあります。

急性喉頭蓋炎

どんな病気?

急性喉頭炎の特殊型で、喉頭蓋の化膿性炎症であり、急激な呼吸困難を生じる緊急性の高い疾患です。成人男性に多く、好発年齢は50歳代で、喫煙者に多くみられます。この疾患の3369%は耳鼻咽喉科以外を受診されており、診断が遅れた場合には気道閉塞で死亡することがあり、本邦では死亡率は1.4%と報告されています。

主な症状

つばを飲み込むのも難しいほどの強い咽頭痛や嚥下痛を訴え、口臭、含む声や嚥下困難による流涎が特徴的です。重症になると呼吸困難になり、仰臥位になれずに起座呼吸となり、最悪は窒息により死に至ることがあります。

治療法

急速に進行して窒息する可能性がある疾患であり、原則は入院の上、治療することが必要です。保存的治療としては抗生物質、ステロイドの投与やネブライザー治療を行います。
本疾患は数日前までは元気であった人が、急に窒息して死に至ることがあるため、強い咽頭痛がある場合には、自己判断で市販薬を服用したり、仕事が休めないからという理由で病院を受診せず、症状が非常に重症になってからスタッフの少ない夜間に救急病院を受診することを避け、早めの医療機関、特に耳鼻咽喉科への受診をお勧めします。

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