耳鳴りとは?
耳鳴りとは、耳の中で患者様が音を感じる状態のことを指します。実際に音が生じている場合もあれば、患者様ご自身だけにきこえている場合もあります。以前は耳鳴りは内耳が原因により起こるとされてきましたが、近年、原因は難聴によって脳に伝わる刺激が減るために、脳が聞き取ろうとして異常興奮する現象ということがわかりました。また2017年には認知症の予防可能なリスク因子のうち、9%が難聴であることが発表されました。
耳鳴りの種類
耳鳴りは、患者様ご自身だけが聞こえる自覚的耳鳴(じかくてきじめい)と、患者様と第三者が聞こえる他覚的耳鳴に分けられます。他覚的耳鳴の場合は、マイクや聴診器を耳に入れると、実際に音を拾います。
また、他覚的耳鳴は、血管性耳鳴と筋性耳鳴に分けられます。血管性耳鳴は、耳のまわりの血液の流れの異常によって、ドクドク、ザーザーといった音がきこえます。筋性耳鳴は、耳のまわりの筋肉の収縮の異常によって、カチカチといった音がきこえます。
耳鳴りの検査方法
耳鳴りの感じ方には個人差がありますので、そこにできるだけ客観性をもたせるために作られた「耳鳴りによる障害度についての問診票(THI)」を使用します。
また併せて、聴覚検査を行います。難聴の方に行うものと同じ検査です。
耳鳴りから考えられる耳鼻科の病気
耳鳴りの症状別原因
症状 | 考えられる病気 |
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片方の耳のみで耳鳴りが生じている |
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両耳で耳鳴りが生じている |
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「ザー」といった低音の耳鳴りが生じている |
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脈打つような拍動性耳鳴りがしている |
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「キ-ン」といった高音の金属音のような耳鳴りが生じている |
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耳鳴りの治療法
音響療法(補聴器による治療)
耳鳴りと難聴を併発している場合には、音響療法が有効です。
補聴器を使用することで音を以前より大きく拾うことができると、耳鳴りが気にならなくなる効果が期待できます。
また耳鳴りは、聞こえの低下を脳がカバーしようとして新しく音の回路をつくって生じるケースもあるため、その場合にも補聴器を使用することで新しい回路の機能が抑制すると、次第に耳鳴りも緩和されていきます。
薬物療法
耳鳴りに対する薬物療法の研究も進んでおり、症例によっては効果が認められるものもございます。一度ご相談ください。
また、耳鳴りが大きなストレスになっている場合には、抗不安薬や睡眠薬を使用することもあります。
書籍掲載について
週刊朝日MOOKいい病院リスト723「よく聞こえない」ときの耳の本2020年版に当院が掲載されました。
週刊朝日「耳のいい病院全国294」2019年12月に当院が掲載されました。